働き方の多様化で統一しにくい雇用政策

2011.12.02

企業に雇用創出・維持を安易に依存できないことである。金融危機後の世界では企業の存在自体が非常に不安定化している。そのため、企業がいつまでも雇用を抱えているという前提の政策は難しい。正社員・終身雇用体制がどれだけ安定したものだとしても、企業の存在自体が不安定化すれば意味がないことは冷静に認識すべきだろう。そして、人口減少・高失業率社会などの課題に対して、政府主導の統一的な政策が見出せないことである。雇用問題に対する企業の対応は千差万別である。

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終身雇用を維持しようとする製造業もあれば、中途採用を増やそうというサービス業もある。あるいは、正社員をあくまで中心に置く企業もあれば、多様な正社員制度を作ったり、非正社員を重視したりする企業もある。企業に応じて、どういう人事労務管理が合理的で比較優位になるのかは異なっている。企業だけではなく、働く側の意識も多様化していて、すべての人が正社員として働きたいと考えているわけではないし、「みんなで連帯して労働条件の改善を勝ち取ろう」という連帯感が働く人々の間に生まれているわけでもない。その一方で、特定の働き方(典型的には大企業の正社員)だけを普通視するような政策に対しては、感情的な反発が強まることが予想される。それは昨今の公務員バッシングを見れば容易にわかる。公務員バッシングの背景には、公務員の不祥事という問題もあるが、最大の要因は官民の労働条件の乖離に対する感情的な反発である。このような情勢を考えると、「正社員・終身雇用制度だけが正しい働き方だ」という前提で、政府がすべての企業・労働者に「単一的で統一的な雇用政策」を強いることは難しいし、それは適切でもないということである。